執筆者:昭和芸能デスク
2013年08月15日

道頓堀角座が復活しました。
道頓堀というと宮本輝の「道頓堀川」の作品世界そのままに「昭和」な感じがしていましたが、最近では、水辺も整備されて以前と比べると川もきれいになり、この界隈も大分様変わりしました。
昔ながらのものが形を変えて復活したり、今までにない施設がオープンしたりと大阪の街はここ数年建設ラッシュのようです。
生まれも育ちも大阪の私にとっては街の変貌は実に感慨深いものがあります。

心斎橋にあったソニータワーがなくなった時もさびしく感じましたが、今や流行りのファストファッションのお店が入り、相変わらず若者で賑わっています。
ソニータワーができた当初、日本の物にはなかなか無い色使いや斬新なデザインの雑貨、主に欧米からの輸入玩具や文房具が揃っていてわくわくしたものでした。週末などは来訪者でぎっしりで、こうして思い起こせば、あの頃もこの場所は大阪の時代の最先端やったんやなと感じます。

最近できた建物で真っ先に頭に浮かぶのは、阿倍野にできたあべのハルカスと梅田に誕生したグランフロント大阪でしょう。
あべのハルカスは全面オープンまではまだ日があるようですが、西日本初のお店や日本一高い展望台など今から完全オープンが楽しみです。
高いといえば、梅田にアクティ大阪が出来た時はえらい高い建物ができたなあと下から見上げたものでした。今では高さだけでなく全体的に広々とした空間が設けられ、中の様相もおしゃれな感じがして、すっかり「平成」の雰囲気です。当時、グランフロントがあるあたりにJR(旧国鉄)の古くなった貨物列車が並んでいて、列車内に雑貨店などがあった時期もあり懐かしく思い出されます。
駅ちか・駅なかには、その他にもあちこちにいろんなショッピングモールが次々とできています。もう3年ほど経ちますが、上本町には上本町YUHURAができました。難波から姿を消した新歌舞伎座も入っています。建物内にあるので歌舞伎座らしい外観が楽しめなくて残念ですが、新しくなった舞台をぜひ一度観に行きたいものです。

復活したものもあれば、なくなったきりのものもあります。
同じく上本町にあった近鉄劇場がそのひとつです。
この劇場には有名な舞台を観に行っただけでなく、高校時代に一度自分自身が舞台に立ったことがある思い出の場所でしたので、劇場が閉まった時は大変残念でした。
また、近鉄劇場と年を同じくして閉館した劇場に扇町ミュージアムスクエアという劇場があります。
こちらはそれほど有名な劇場ではありませんが、何度か訪れたことがありました。
当事務所から北に数百メートル行くと扇町公園がありますが、この公園の近くに以前あった小さな劇場です。
この劇場は小さな映画館と舞台が併設されていて、大きな配給会社が手掛けるロードショーやハリウッド映画ではなく、小さな配給会社のいわゆる単館で上映されるような映画やひとり芝居、当時ブームになっていた小劇場で主に活躍する演劇団のお芝居などをかけていました。
建物の正面は、アジアンテイストの雑貨やアクセサリーのお店と小さなカフェがあったと記憶しています。劇場は雑貨のお店を抜けた奥まったところにありました。
中に入ると天井も低く、客席も数十人でいっぱいになるくらいの小さい規模のものでしたが、私が訪れた時はいつもそれなりにお客さんが入っていたので、留学から帰国後、閉鎖されたことを知った時はやはり残念でした。

建物が新しくなってどんどん街並みが変わっていくことは楽しみが増えるとともに、思い出の場所が失われていくことでもあります。
私の懐古趣味は今に始まったことではありませんが、平成が25年も経つ今でも、やはり昭和の雰囲気が恋しくなるのでした。