事務職員のエッセイ

2019年01月15日
120万円の正しい使い方

120万円。

うーん、悩ましい。高すぎる。それに・・・
何の値段かというと、犬の心臓病の手術の費用である。

わが家の愛犬のキャバリアは、今13才。人間でいうと70才くらい。
キャバリアは心臓病(僧帽弁閉鎖不全)になる可能性の高い犬種で、10才以上ではかなり高い確率で発症する。
だから、心臓病にならない努力はいろいろしてきた。

子犬のうちからたっぷり散歩をさせて筋肉をつけ、絶対太らさないようにして、年をとったときに心臓に負担がかからないように気を付けてきた。
10才を過ぎても発症しなかったので、医者からいい遺伝子を持っているのかも知れませんねと褒められていた。

が、とうとう11才で心臓に雑音が入りだした。
やはりだめだったかー。結構いい調子だったのにな。

こうなったら現状維持に作戦変更。
医者の話によると人間用のEPAで改善した事例があるとのこと。
EPAくらい買ってあげるよー。じゃんじゃん飲め、飲め。

スキンシップでオキシトシンもたっぷり出させてあげよう。
(幸せな気分になりストレス軽減、免疫力向上、心臓機能の向上の効果あり らしい)
毎日、今以上にかわいがってあげよう。褒めるぞー。撫でるぞー。

そしてこの甲斐あってか、一旦雑音は本当に改善した。医者が驚いた。

が、やはりそんなことだけで治るわけもなく、老化も相まって心臓は少しずつ肥大し雑音も増えた。今の1ヶ月の薬代は2万円以上になっている。
犬の薬代も医療費控除の対象にしてくれーっ!

この心臓病を治す方法は、もう手術しかない。

かかりつけの医者によると横浜と名古屋に心臓病手術の名医がいるとのこと。手術代は名古屋の医者の場合で120万円。横浜はさらに高額。
しかもこれは手術の費用。事前検査費用、入院費用、名古屋までの通院交通費、それに私のホテル代を合わせると、おそらく総額で150万円くらいはかかるだろう。
何ておそろしい金額!

貯金をはたいて犬の心臓病手術をするべきか?

手術をすれば薬代はかからなくなる。急に悪化する心配からも解放される。長生きをするかもしれない。
絶対に手術が成功し、20才(人間の100才くらい)まで生きることが保証されるなら、ちょっと考える。
この先、しばらく服も買えない超節約生活に入ったとしてもこの子がいてくれる幸せにはかえられない。

でも、
そもそも高齢のため手術に耐えられず亡くなる可能性もある。
心臓病が治っても、ガンや腎臓病になる可能性もある。
結局、手術をせずに薬で治療を続けた場合と、手術をした場合でどれだけ寿命に差が出るかわからない。
ものすごく延びるかもしれないし、ほんの少しかもしれない。

それに何よりも、はたしてこの子が、「自分のために飼い主が大金をはたいて手術を受けさせてくれた!ありがとう!」と思ってくれるだろうか?
おそらく最後に嫌なめにあわされたと思われるのがオチだ。

自分を痛いめにあわせた嫌な飼い主というのが、愛犬の最後の記憶だったとしたら、こんなに悲しいことはない。
飼い主は、1日でも1分でも長生きしてほしい、一緒にいたいと思っているんだよ。

この子が言葉を理解してくれたら、私の真意を伝えられるのに。

あと何年一緒にいられるかは分からないけれど、120万円は手術ではなく、薬代はかかるけれど、この子との楽しい思い出づくりに使うことにしよう。
いっぱい遊んでくれて、いろいろ連れて行ってもらって、ドッグカフェでおいしいものもいっぱい食べて、とても楽しかった。という記憶を残してあげよう。
きっとそれが120万円の正しい使い方。そんな気がする。

イスラム建築マニア