事務職員のエッセイ

2017年06月15日
羽ばたく手羽先

今年もまたビールのおいしい季節がやってきました。
一生懸命働いたあとのキンキンに冷えた苦いビール!日中に流した汗の分、細胞のひとつひとつに染み渡っていく至福の時間です。
そして今年は、ビールにばっちりがっちり合いすぎるおつまみを発見してしまったのですからもう私は無敵なのです。

そのおつまみとは、とあるお店の手羽先です。
手羽先が売りの名古屋発祥の居酒屋さんなので、きっとご存知の方も多いことでしょう。以前からデパ地下で見かけたりしてその存在は知っていたのですが、そうはいっても手羽先です。そんなにココロ惹かれることもなく、お店の前を通ってもスルーしていました。
ところが半年ほど前、飲み屋のローテーションに新しい風を、と新規開拓の一環としてそのお店に入ってみたのです。
お店は大変繁盛していて、しばらく待ってようやく席に通されました。周りの様子をうかがうと、みんなてんこ盛りの手羽先にわれさきにとかぶりついています。忙しく立ちまわる店員さんたちも全員がてんこ盛りの手羽先を運んでいます。
どうみても20本くらいあるけれどあれは一体何人前なんだろう。メニューによると1人前5本とのこと。エッ、5本も食べれる?焼き鳥さんに行ったって2本くらいしか食べない私達はとりあえず1人前だけオーダーして半分こすることにしました。
ほかのテーブルにじゃんじゃん運ばれていく手羽先を眺めて待つこと数十分、私達のテーブルにもようやくやってきました。
見たところ、私の知っている普通の手羽先よりも黒い色をしていて味もなんだか濃そうです。箸袋に書いてある手羽先の上手な食べ方を読みながら、熱々のところをパクっといってみました。
おぉぉぉぉうまーい!うまーい!ほんとにうまい、何だこれ!そしてこのガツンと濃いめの味付が、びたっとビールに合うのです。1人前5本必要な意味が理解できました。もう一皿追加したのは言うまでもありません。若かったら10本は余裕でいけるでしょう。
それからというもの、もう何度となく通っている手羽先屋さん。あまりの美味しさに毎回笑ってしまいます。溜まった疲れを一気にふっとばしてくれる大事なお店となりました。

世界ではいろんな悲しい出来事が毎日起きています。誰かを傷つけたり攻撃したり、それぞれにやむにやまれぬ理由があるのでしょうが、その行動をおこす前に、みんなこの手羽先食べてみたらいいのにと思うのです。
美味しいものを好きな人たちと食べたり飲んだりしていると、嫌なこともすっかり忘れてしまいませんか。美味しいと楽しくなり、楽しいと幸せになり、腹が立ったことや辛かったこともまあいいか、そんな日もあるさ、許してやろうと思えてきます。少し苦手だった人でも、宴が進むにつれ案外いいやつじゃんとむしろ好きになったりもします。
悲しいニュースをみるたびに、あのお店を彼らに教えてあげたいと思う今日このごろです。

武器なんか捨ててどうかその手に手羽先を。
世界中に羽ばたけ、我らが手羽先。

気まぐれシェフ