事務職員のエッセイ

2016年11月15日
未熟児アオムシ 生きて蝶になれ

去年の9月の終わり頃、寒さで弱っていたアオムシを室内に保護してサナギにしてやりました。その子は今年の春、無事、蝶になりました。

そして、今年の10月中旬、まだ孵化して間もない鳥のフンのようなアゲハの幼虫が地面に落ちていました。弱り切っていて葉っぱにつかまることもできません。自力で枝を這い登るのはどう見てもムリです。

葉っぱに産み付けられた卵の状態なら、まだ払い落とすこともできますが、一旦孵って命が宿った以上は見殺しにできません。
またしても飼うことになりました。

深めのタッパーにキッチンペーパーを敷いてレモンの葉と幼虫を入れ、カイロで保温してあげると、葉っぱをほんの少し食べ、小さな小さなフンをしました。
食べてフンをしている・・・、生きている。ほっとします。
毎日、カイロで保温してあげていると、少しずつ元気を取り戻し、数日すると体の色もだんだん緑色になってきました。

「あおちゃん」と声をかけると、ちゃんと分かっているようで私がペタペタ触ってもオレンジの角を出したりしません。
ただ一度、食べて筋だけになっている葉っぱにいつまでも乗っているので、新しい葉っぱに乗せ換えようとしたときだけは、何度も角を出して怒りました。よほどのお気に入りだったようです。
「ごめん、ごめん。」

生まれたときからずっと小さく、食も細く、小振りで心配しましたが、何とか普通の3分の2くらいの大きさに育ち、10月の末、ついに下痢のようなフンをしました。これはサナギになる合図です。
大きな紙袋に入れ替えて薄暗いところに置いていると無事サナギになりました。
小さなサナギです。
生まれた時からひとりなのに、ちゃんと時期がくると体内の水分を出して、体を糸でくくりつけてサナギになる。本能ってすごいなと感心します。

話が遡りますが、今年の夏のこと。
1羽のアゲハ蝶が私の家のレモンの木のまわりを飛んでいました。
近くに立って蝶が卵を産まないように見張っていました。その蝶は「ここに卵を産みさえすれば子供は安泰。何としてもこのレモンに卵を産む。」と決めているようで、レモンの近くから離れません。
産むまで帰らないという決心が感じられたので、ちょっと離れてみました。
蝶は葉っぱに止まり卵を産むと安心して飛び去って行きました。

人間以外の生き物は、一生懸命に生きて、次の世代に命をつなぐことに一生懸命です。
本能で全力でそうします。
そういうのを見ると、相手が小さな生き物でも地球に共存している仲間として「互いに頑張って生きようね。」という気持ちになります。

何かの縁で同時代に生きることになった生き物への仲間意識のような感情と、母蝶が秋も深まる中、最後の力を振り絞って産みに来た子かもしれないという思いが湧き起こります
「大丈夫、後は私に任せて。」

小さなアオムシは小さなサナギになりました。来年、小さなアゲハになることでしょう。
来年の春に無事に蝶になるまでは、私がしっかり命をつないであげようと思います。

イスラム建築マニア