2016年10月01日

年のIPBA(Inter-Pacific Bar Association、環太平洋法律家協会)の総会はクワラルンプールで開催された。開催日は4月13日から16日と雨季を避けた日程であった。なお、IPBAとは、環太平洋でビジネスローを取り扱う弁護士が弁護士間の情報ネットワークをつくる機会を提供することを目的とした団体で、1年に1度、各国の持ち回りで開催される総会が主たる活動である。
クアラルンプールに入る前にベトナムのホーチミン市(かつてのサイゴンでHCMCと表記されることが多い)に寄ってきた。ホーチミン市は、2003年1月14日から19日まで シェムリアップ(カンボジア)、ホーチミンに事務所旅行をして以来の二度目の訪問である。13年振りに訪れたホーチミンは大きく変貌していた。オートバイが多く、交通規則があってなきがごとしの状況は変わっていなかったが、オートバイに同乗する人数は多くて2人、同乗者なく走る人も沢山いたし、オートバイも新しいものが多く、おそろしいほどの煙を吐き出しながら走るオートバイはあまり見かけなくなっていた。また、走っている自動車の数も激増していた。高層ビルも建築されており、そのビルの内部は先進諸国と全く同じであった。その高層ビルに入っている法律事務所に表敬訪問してきたが、高層階から眺める街はいたるところでビル建築をしており活気が感じられた。現地に進出している商社の方から聞いた話ではベトナムの平均年齢は約27歳ということであり若い国である。今後のますますの発展が望める国だが、発展に伴う所得層に二分化が懸念されるところである。
クアラルンプールは二度目の訪問である。前回は弁護士1年目のことなので約26年前である。その当時は地下鉄などがあった記憶はなく、高層ビルもほとんどなかったと思う。宿泊したホテルの屋上にプールがあって、そのプールからビルの影が見えた記憶はないが、先に訪れたホーチミンのように街のいたるところで工事をしていた記憶がある。今回の訪問で、まず驚いたのは空港からホテルまでにいたる線路沿いである。ショピングモールが点在しており関空から大阪市内に入るのとあまり変わらない。そもそも、空港から真新しい特急列車で中心市街地まで行けるというのは隔世の感がある。IPBAの会場となったコンベンションセンターはKLCC公園という一周1kmくらいの公園に面しており、コンベンションセンターの隣には巨大ショッピングモールと有名なペトロナスツインタワーがある。あのトウモロコシのようなタワーが二棟あり真ん中くらいを渡り廊下がむすんでいる建物である。お約束の観光スポットなので最終日に展望台まで登ってみた。私は高所恐怖症なので窓際までは行けなかったが、窓からは見渡す限り街が広がっているのが見えた。このクアラルンプールの都市化は市街地に限られず、郊外にまで広がっている。IPBAのプログラムで郊外にあるマレーシアグランプリが開かれるレース場で開かれたディナーパーティに行った。市内からレース場までバスで約2時間かかり、そのうち1時間くらい高速道路を走ったが、道路沿いはヤシの密林と思っていたら、全然違った。ヤシ林がないことはないが、ほとんどの時間は住宅街が広がる中を高速道路が走っている。高速道路を降りると大規模な新興住宅地が建設されていた。ルック・イースト政策の成功というのか、まさしく日本のように近代化、都市化された国となっていた。

IPBAの会議については、いつものとおり期間中の午前、午後には様々なテーマごとにセッションが開かれた。興味深かかったのは、「Outside Directors and/ or Independent Directors; Diversity in Corporate Governance」(企業統治の多様性-社外取締役と独立役員を中心に)というテーマで、会社法で、事実上、上場会社は社外取締役1名の選任が必要となったとか、コーポレートガバナンスコードで社外取締役2名の選任が望ましいとされるようになったことに即したテーマであった。アメリカ、シンガポール、ベトナム、インド ネシアの各国の弁護士のパネリストにシンガポールの学者を日本人弁護士が司会して行われるというもので、各国の制度比較が興味深かった。
クアラルンプールで出会った印象的な弁護士としては、タジキスタンの弁護士である。アメリカ人であるが、現在はタジキスタンで弁護士をしているということであるが、猛烈なスピードで喋るのでどういういきさつがあったのかは聞きそびれてしまった。次回はニュージーランドのオーランドでの開催である。初めてのオーランド訪問と各国の旧知の弁護士、新たに知り合う弁護士との出会いを楽しみにしている。