2004年06月01日

私は漫才が好きだ。しかし、本当に面白い漫才コンビというのは多いようで案外少ないように思う。
ほとんどテレビでしか見ないが、全くの独断と知ったかぶりで、私の好きな漫才師について感想を述べる(以下、敬称略)。

最も好きなのは、ダウンタウンと爆笑問題である。
特に松本と太田は私にとっては、あこがれの対象といってよい。

今、ダウンタウンの漫才がテレビで見られるのは、日本テレビ系の「ガキの使いやあらへんで!!」のフリートークのコーナーである。
浜田が視聴者から松本へのでたらめな質問を読みあげ、松本が即興で答えるというものだが、単に適当なことを言っているようでも、松本が描き出す世界を想像すると不思議な笑いがこみ上げてくる。

爆笑問題については、東京風のボケツッコミに最初なじめなかったが、太田が、世間で起きたニュースなどを、知的に、皮肉いっぱいにおちょくっているのを聞くと笑ってしまう。田中のツッコミも型が決まっていて、かえって絶妙の間合いを醸し出しているように思う。
テレビでは漫才そのものを見る機会は少ないが、日本テレビ系の「爆笑問題のススメ」で「コラム」(最近見てないので今もやっているかは知らないが)コーナーはほとんど漫才である。また、主に太田が、漫才調で書いた「日本史原論」などのシリーズの本を読んでも笑ってしまう。

関西に目を向けると、ベテランでは、オール阪神・巨人、横山たかし・ひろし、はな寛太・いま寛大か。

オール阪神・巨人の漫才はいつ見ても、何度見ても笑わないことがない。やすし・きよしの後継者は阪神・巨人を置いてほかにない。
面白い原因の一つは、漫才の流れの中で、ボケとツッコミがどんどん入れ替わることにもあるように思う。
漫才番組のトリとしてもう一組考えられるのは、中田カウス・ボタンであるが、私は阪神・巨人の方が好きだ。
カウス・ボタンの漫才は私にはワンパターンに聞こえる。ボタンは、関西テレビの「痛快!エブリデイ」月曜日、「男がしゃべりでどこが悪いねん」のコーナーで自由にしゃべっているほうが面白い。

横山たかし・ひろしの漫才は、ご存知「ほら吹きのお坊ちゃま」のネタばかりである。
たかしが「芦屋のおぼっちゃま」と称して、「世界的に有名な女優と恋に落ちた」などのホラを吹き続け、最後には、それがホラであることをひろしにばらされた途端、やおら赤いハンカチを取り出して、口にくわえて、「すまんのー」という、全くお決まりのパターンだが、これもいつ見ても笑える。
マンネリの面白さ、というものもあろうが、やはり間合いが絶妙なのであろう。

はな寛太・いま寛大は、前二者に比べると、最近はテレビでの露出は少ない。今となっては昔の漫才師という感じさえする。
しかし、往年の名ギャグ「ちょっと待ってね」を随所に盛り込んだしゃべくり漫才には、間合い、言葉の掛け合いなどに何ともいえない味わいが感じられる(昨年、上方お笑い大賞・特別賞受賞)。

中堅どころでは、「ティーアップ」が好きだ。
コンビ結成当時、新人賞を数多くとって注目を集めた後、ボケの前田が病気になったとかで低迷したが、最近復活してきた。昨年、上方漫才大賞・奨励賞を受賞した。
だみ声の前田が繰り出す天性のボケがとても面白く、前述のベテランの漫才コンビと比べても何ら遜色がない。

若手では「笑い飯」と「フットボールアワー」が面白い。
結成10年以内のコンビの中で、どのコンビが一番面白いかを決める「M-1グランプリ」も、昨年末で3回目を迎えたが、両コンビは共に最終決勝に残った。結局審査員7人中、フットボールアワーが4票、笑い飯が3票で、フットボールアワーが優勝したが、これは甲乙付け難かったというか、世間では笑い飯の方が面白かったという声も大きい。

笑い飯の特徴は、一つのテーマを決めて、二人でボケまくるというもので、二人ともボケという新しいタイプの漫才である。去年のMー1の決勝戦1回目の漫才を見て、久々に腹を抱えて笑ってしまった。

フットボールアワーは、笑いが安定しているように思う。売り出した当初はボケの岩尾のブサイクネタ(吉本ブサイクランキングで1位)ばかりで、同世代の若手コンビの中で、それほどパッとしなかったが、最近、岩尾のボケの世界が広がり、世間で見かけるちょっとおかしな人をパロディにしたような内容が面白い。最近見た中では、ファミレスの店員とか、「ムツゴロウさん」のパロディが面白かった。

私が思うに、(当たり前のことだが)漫才は「笑える」のが一番である。よく、あのコンビは漫才が上手いなどと言われることがあるが、素人であるお客にとっては、上手いか、下手かはどちらでもよくって、要は、心の底から笑わせてくれるかどうかである。
その意味で、ご紹介した漫才コンビは、思い切り、または、じわーと笑わせてくれる、大好きなコンビばかりだ。