2016年02月01日

私は平成19年4月に長女が大阪にある豊中市立少路小学校に入学したときに「少路小学校おやじの会」に入会し、次女が同小学校を卒業した平成27年3月からは同会のOBメンバーとして活動している。先日(2016年1月26日)の日経新聞に載っていた「パタハラ」(パタニティー(=父性)ハラスメントの略)の記事に触発されたわけではないが、今回はこの「おやじの会」について書いてみたい。

「おやじの会」というのは小中学校(多くは公立)に通うお父さん達が立ち上げた団体で全国にわたって点在しているようである。学校やPTAの一部組織であったり、緊密な連携したりするものもあるが、緩い連携にとどまるものもあるようである。「日本おやじの会連絡会」なるものがあり、「全国おやじサミット」が開催されているらしい。
「少路小学校おやじの会」は「すべては子どもたちの笑顔のために!」をスローガンに活動しており、メンバー数(子どもが小学校を卒業したOBメンバーを含む)は100名を超えている。メンバーには多種多様な職業のお父さんがおり、中には建築会社を経営者や金属加工の職人の方もいて色々な器材や工事をお父さん達の手作りで行っている。主な活動は1月の餅つきと7月の少路祭りフィナーレの花火である(いずれも少路小学校で行われる)。メンバーたちはこれらの行事のために数ヶ月前から準備をする。といっても「来られるときに来る」という緩いものなので当日以外には100名ものお父さんが参加することはない。

1月の餅つきは、5または6個設置した臼で合計200キロ以上の餅をつくという大規模なものである。特筆すべきは、もち米を蒸すために使う数個の金属製のかまどはメンバーが集まって手作りで製作したものである。先に述べたとおりメンバーの中には専門の職人さんもいるから可能なのである。この手作りのかまどは大きな釜が丁度入るように作られている。メンバーは朝5時30分に集まって小学校の校庭にかまどを組立て、設置し、その中で木材を燃やして強力な火力でお湯を沸かし続け、一釜あたり常時数個の蒸し器でもち米を蒸すのである。餅がつきあがれば、子ども達に順番についてもらい、餅つきの楽しさを味わってもらうのであるが、百臼ちかく餅をつくわけであるから、お父さん達としては大変である。そこで助っ人が登場する。毎年、来てくれている助っ人にパナソニック・インパルスのメンバー達がいる。今年のライスボールを制して日本一に輝いたアメリカンフットボールの社会人チームである。10年近くにわたってアメフトの普及活動を兼ねて20名前後のフットボーラーと数名のチアリーダーの方が参加してくれる。インバルスのホームページにも餅つきの模様は掲載されている(なお、今年の写真でマグロ(賄い用)を焼いているズボンだけの人間が写っているが、それが私である)。また、数名のフットボーラーの方は懇親会にも参加してお座敷芸を披露して大いに座を沸かしてくれる。日本一になるような一流アスリートと親しく、ざっくばらんにお話ができるというのもこの餅つき大会の大きな魅力である。

7月の少路まつりフィナーレの花火であるが、さすがに「煙火打揚従事者手帳」を取得している者はメンバーにはいないので玩具花火を組み合わせる。しかし、10万円以上の費用をかけて購入した花火を考えぬかれた配置で校庭の一角に、メインブース、左右ブースの3箇所に並べて、タイミングよく点火していくとミニ打ち上げ花火的な豪華な花火大会となる。サッカーゴールの上部に設定したドラゴン花火の放列も一斉点火で見事に噴き上がる。といっても、本職のようにコンピュータ制御による点火ではなく、お父さんたちの手によるものなのでタイミングが少しずれることになるが、それもご愛嬌である。圧巻なのはナイアガラである。市販のナイアガラ用の花火を購入して、予め数十メートルの紐に等間隔で接着しておき、毎年5月に間引伐採して加工をした竹をつなげた20メートル近い数本のポールをつくり、その先端にナイアガラ花火が接着された紐をくくりつけて約20メートルの高所にナイアガラ花火を釣り上げるスケールの大きなものである。数十人におよぶメンバーとお手伝いの父兄が合図で一斉に点火を行い、その後すぐの合図で同時に数本のポールを立てるのである。そうすると数十メートルにわたって約20メートルの高所に張られた紐から花火が降りてきてなかなか壮大なナイアガラができるのである。点火からポール立てまで30秒以内の勝負であり、ポール立てにいたっては数秒の勝負である。その模様はYou-tubeにもアップされているので興味のある方はご覧ください。

このような運営ノウハウは先輩のお父さんから受け継がれているが、そのためには後継者を常にスカウトしていく必要がある。機会を捉えて存在感をアピールしており、今のところは後継者に入会していただいているが、先細りになる危険性を常にはらんでいる。先日、阪神淡路大震災の追悼行事が後継者不足で中止のやむなきに至っているとのニュースもあったが、あのような未曾有の大震災の追悼行事でさえ続けていくのは大変なことだと思い知った。少路小学校おやじの会は、後継者の確保のためにも無理なく、楽しく活動を続けていければと思う。