2014年10月01日

当事務所は今般、西天満から淀屋橋に移転し、9月1日から執務を開始しています。
従前のビル(新日本曽根崎ビル・旧南森町東洋ビル)には1999年(平成11年)4月から15年5か月いたことになります。
ちょうど私が当事務所で弁護士登録をしたのと時期が同じでした。
私が新人弁護士として登録し、池田弁護士も海外留学から帰ってきて弁護士6人体制になるのを機に、南森町東洋ビルに移転したと聞いています。
弁護士6名から入れ替わりもあり9名体制となった今、現在の淀屋橋戸田ビルに移転することになりました。

南森町東洋ビルは私にとっては、弁護士になってからずっとそこで過ごした事務所であり、個人的にも相当の思い入れがあります。
修習を終えたばかりで右も左もわからない状態から、弁護士の仕事を覚えるのに必死の毎日でした。
法律の基礎的な知識という点では自信があったものの、依頼者を前に法律を駆使して、事案を解決していくことに相当な苦労をしなければなりませんでした。
社会経験が乏しかったこともあって、先輩弁護士、特にボス弁である梅本弁護士から相当厳しく指導を受ける毎日でした。
弁護士としての仕事ぶりのみならず、恥ずかしながら、いわゆる「報・連・相」ができていないなど、社会人として要求される心構えもおぼつかなく、叱責を受けたことも多々あります。
「論理で考えろ」も口を酸っぱくして言われたことで、これも会得するには相当時間を要したように思います。
あまり器用なタイプでもない私は相当参ってもいたのですが、「倒れそうで倒れない」?のが信条の私は、なんとか本質を掴んでみようという心がけと、ともかく一生懸命やって経験を積もうという「ど根性」でなんとか頑張ってきたのが、旧事務所での15年間でした。
もちろんボス弁はじめ事務所のメンバー、家族、友人、依頼者の方々にも支えていただいたおかげです。話が横道にそれますが、よく野球選手がヒーローインタビューで「監督が辛抱して使ってくれたおかげです。」などといいますが、私はああいう気持ちがよくわかります。ボスたちが不器用な私を見離さないで仕事をさせてくれたことに心から感謝しています。
お陰様で、当初は自分だけでは何をやっても上手くいった気がしなかったのですが、そのうち、これは上手くいった、依頼者にも感謝されたという案件もボチボチできてきて、英知と勇気とど根性で、よりよい解決ができた、本当に弁護士冥利に尽きるような案件も経験することができました。
他方で苦い経験も当然のことながらあります。そんな思い出の詰まったのが旧事務所でした。

「思い出の詰まった」という点では、大阪青年会議所在籍中、特に理事だった2010年は、うちの事務所でよくスタッフ会議を開きました。
仲間と深夜まで議論を重ねて、幾多の困難を乗り越えていった、これまた言い尽くせない思い出が詰まっています。

そんな思い出の詰まった西天満を離れ、淀屋橋地区、船場の伏見町通り沿いの「淀屋橋戸田ビル」2階に移転してきました。
移転の話が持ち上がってから、私自身も候補ビル探しに携わり、青年会議所の友人である不動産会社社長に相談し、当方の希望もよく伝えてディスカッションもしました。
当初は裁判所周辺で、法律事務所が集まる西天満内での移転を考えていましたが、その友人の勧めもあり、西天満にこだわる必要はなく、むしろ淀屋橋、北浜地区にいいビルはないかといって探してもらい、2つの候補に絞られたのち、事務所メンバーで内覧会も開いて決めたのがこのビルです。
ビルの重厚な外観には独特の魅力があります。ここに決めるのと前後して分かってきたのは、ビルのオーナーが江戸時代から代々続く大阪の著名な老舗茶道具屋さんだったということです。
その外観、天井の高いエントランスホールの落ち着いた照明、そのホールに飾られたシンプルな平台皿などの芸術品が、何とも言えない落ち着いた雰囲気を醸し出しているのが納得できました。

ビル周辺も、芝川ビル、浪花教会、青山ビルなどなど有名な歴史的な近代建築がたくさんあり、船場の歴史を感じさせてくれます。
母校である大阪大学の源流ともいうべき適塾跡もあります。西天満(南森町)時代とはまた違う街の雰囲気を味わっています。
金融機関、大企業の本社の多くがこの船場を離れつつあるとはいえ、それでもやはりビジネス街の息吹を感じます。商人のまち大阪の歴史に抱かれているような思いさえします。
地の利としては、地下鉄御堂筋線淀屋橋駅からほど近く、堺筋線北浜駅からも近いので、クライアントにお越しいただくにも便利を感じていただけると思っています。

事務所内も明るく清潔感があって、事務所メンバー全員、この新しい事務所が相当気に入っています。事務所移転のお祝いもクライアントや友人の方々からたくさん頂戴し、心より感謝しています。
われわれ栄光綜合法律事務所、そして私自身も新しい事務所で、新しいステージが始まったと思っています。
これまで培った経験、思い出を胸に、新しい環境でまた心新たに頑張っていこうと決意を固めています。