弁護士のエッセイ

2014年03月01日
毎日海外旅行

ここ数年、年末年始に長めの休暇を取って、海外旅行に行っています。今年はベトナムのホーチミンに行ってきました。
緑に囲まれた清々しい朝の街を伝統衣装アオザイに身を包んだ美しい女性が歩いていく・・・というは幻想だろうなと思っていましたがやはり幻想でした。ベトナム筆頭の商業都市として経済発展が急激に進むホーチミンは表にいる9割方の人がバイクにまたがり(それも2人乗り以上が多く、最高は5人乗り)、あえていえばゴキブリの大群の様に街中の道路を埋め尽くしていました。アオザイを着た女性は、近郊の農村?から野菜を売りに来ているおばちゃんか、「お兄さんマッサージ」を連呼する怪しいお姉さんくらいでした。
日本と比べると街の緑は遥かに多く逞しい。しかし、本来、東南アジアの濃い緑と空の深い青で染め上げられているであろうこの街は、バイクの大群が吐き出すガスや工場の排煙などで白く霞んでいました。中国の北京などは光化学スモッグで数十メートル先が見えないといいますが、ホーチミンはそこまではいきません。しかし、数百メートル先のビルはスモッグでぼやけて輪郭がはっきりしない、そういうレベルではありました。排気ガスの匂いも梅田のバスターミナルの10倍はあろうかという濃さでした。この街に住めるかどうかを考えたとき、とくに環境に敏感な私はとても無理そうでした。
ついつい環境面にスポットを当てて悪いことばかりを書いてしまいましたが、全体でみれば非常に楽しい旅行でした。期待していたとおり、食事は何を食べても美味しかったですし(東アジアは美味しい)、人や物、建物など、現代様式と旧様式がごちゃごちゃに混ざり合うこの街が持つ雰囲気は、一通り現代化してしまった日本のどの街にもないものでした。

さて、実はここからが本題ですが、私は最近、毎日のように世界を旅行しています。昨日は南太平洋のツバル、一昨日は中央シベリアのヤクーツクに行ってきました。
ツバルは地球温暖化で21世紀末には水没するかもしれないと言われています。私のイメージは、ツバルの首都がある島は南太平洋の大きな丸い島なんだけれども、珊瑚礁で出来ているにすぎない海抜の非常に低い島であるがために、温暖化で海面水位が徐々に上がっていくとみるみる丸い島が外縁から小さくなっていく・・・というものでした。
ところが現地を見ておどろきました。そもそも、ツバルの首都のある島(フナフティ島といいます)は環礁の一部、丸い円でいえばその弧の一部にすぎない島でした。島は縦長で一番幅のあるところで500メートルといったところです。そのくらいの幅のあるところはごく限られ、そこから幅100~150メートル長さ数キロくらいの、魚の骨のような半島部分が突き出しています。半島は何箇所もくびれており、幅の狭いところは10数メートルしかありません。このような鯖の背骨の断面のような島にびっしりと家が建っているわけですが、全て海の家のように砂浜かそのいくらか陸側になっているというような状態でした。なるほど、水位が数メートルも上がれば全て水没してしまうことが直感的に分かりました。
次に、ヤクーツクですが、永久凍土上に立つ世界で最も大きな街です。この街に対する私のイメージ、本来、過酷な環境のため狩猟採集民しか暮らせず大きな街ができるような場所ではないが、近代になって鉱山開発などで発展した街。冬は摂氏マイナス60度にもなり、大陸性気候のため年間の気温変動は激しとはいえど夏でも寒い。
こちらも現地に行って驚きました。夏であれば街中の人は普通に半袖半ズボンというようなスタイルです。寒いどころか暑いということで。最高気温が摂氏30度を超えることもあるようです。道路幅は、さすがに大陸型の都市設計で日本の街などより遥かに広い。建物はというとあまりに過酷な環境のため一つ一つがなにか要塞のような重厚な造りなのかというとそうでもなく、むしろ普通、中心部は高度成長期の日本の公立小学校のような地味めの建物が多いのですが、ソ連崩壊後にできたようにも見えるデザインの施された商業ビルも少なくありません。ただし、ちょっと郊外にでると道は未舗装で、夏なのに道はぬかるんでいました。夏といえど地から数メートル下は凍っていて、地表は凍土の表層が溶けたにすぎない状態というわけです。
というわけで、日頃しょっちゅう世界旅行に行っている私ですが、どうやって行くのかというとGoogleさんに連れていってもらっています。当然料金はタダで、いつでも(ちょっと休憩するような時、通勤時の電車の中など)行けます。Googleマップを使えば、一つ一つの家、車が判別できる程度まで詳細な高空写真が見れます。それも世界の主要都市だけということではなくかなり田舎でも準備されています。都市の中心部や名所の場合、見れる場所は限られますが、ペグマンという人型アイコンで場所を指定すると、歩行者視点で360度の現地パノラマ写真かピンポイント写真が見れます。
こうして、Googleで旅行するのが一つの趣味のようなものになっています。実際に現地に行く旅行に代替できるものではありませんが、本当の旅行をするのは大変で、毎年行き続けたとしてもどれだけの場所に行けるでしょうか。そう考えると、グーグル旅行と本当の旅行は相互に補完しあうような関係のように思います。
ついでに最後につまらないことをいいますが、Googleマップ、仕事でもいろいろと使えます。

弁護士 高橋 英伸